会社に出す書類に似たような名前のものがあって混乱しませんか?
例えば、会社で働いている人が職を辞める時に出す書類。会社の様式が決まってなくて悩んだ経験があるという方、少なくないのでは。
転職経験のある私は迷いました。辞表?いや退職願?それとも退職届?進退伺というのもあるよなぁって。そして、調べてみたことを書きたいと思います。
まず、ネットで「辞表」「退職願」「退職届」と検索すると、結構分かりやすい解説が見つかります。それから、辞書やビジネス文書の書き方の本、労務関係の書籍などに書いてあったことを簡単に整理してみました。
「辞表」について
「辞表」を広辞苑などで調べると、
【職を辞する際、その旨を書いて差し出す文書。辞職願い。】と載っています。
一方、ネットでは、【会社の役員や公務員などが辞める時に提出するもの】などといったことがまことしやかに書かれています。
おそらく、ニュアンスとしては、委任契約に基づいて職に就いているケースや民間の雇用契約以外のケースをイメージするのが近いかと。
例えば、
代表取締役を辞める、議員を辞める、〇〇委員会の委員長を辞める、○○組合の組合長を辞めるなど公の立場を辞める場合が多いようです。つまり、これらの人は労働基準法の適用がない役職の人たち。
ちなみに、公務員は一般的に国や地方の公務員法があてはまりますが、すべてではなく労働基準法が適用される人も一部いるとされます。だから、この場合は、退職届や退職願もあり得ることに。
ただ「辞表」について言えるのは、法律で定義されているわけではなく、慣習上の使われているにすぎないので、会社を辞める時に「辞表」を提出してダメってことはないです。
分からなかったら「退職願」か「退職届」のどちらかで、ではどっち?
どの書類を書くのか分からなかったら、まずは、勤めている会社に提出するもの確認しましょう。
もし、会社に確認するのが難しいという場合は、次のように考えます。
「願」⇒「どうか(会社を)辞めさせてください」
「届」⇒「私は(会社を)辞めます」
書き方は、ほとんど似ています。
退職理由は、どちらも「一身上の都合により」。
ただ、違いは、ざっくりココ。
「退職願」:〇〇年〇月〇月をもって
退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
「退職届」:〇〇年〇月〇月をもちまして
退職いたします。
「退職願」は、会社に対して退職を願い出るためのもの。場合によっては、退職はちょっと待ってということになるかもしれませんが、会社と本人の間で交渉の余地があります。
自分の都合で辞める場合、例えば、結婚を機に辞める寿退社のような時は、会社に辞めさせてくださいと願い出ることになるので、「退職願」を提出します。つまり、会社の合意を得てからの退職、いわゆる依願退職というもの。円満退職を目指すなら「退職願」。
一方、「退職届」は、自分の退職を通告するための書類です。会社がなんと言おうと辞める意思が固まっている場合はこちら。また、会社との間で既に辞めることで話がついている場合もこちらになります。
民法で、労働者は一方的な意思表示によって一定期間の後に会社を退職できることが認められています。正社員のように期間に定めのない雇用の場合は、労働契約の解約の申し入れ(退職の意思を伝え)た日から2週間が経過すると契約が終了します。(第627条)
だからと言って、この通りにすると会社との間でトラブルになる可能性がありますよね。会社にだって事情があります。会社は業務に支障がでないよう規程など決まり事を作っています。まずは、規程に従うことが大事。
それでも、
特に規程にない場合は、「退職願」と考えた方が無難かもしれません。
ご参考までに⇒
DODA【社労士監修】退職願・退職届の正しい書き方
辞表でもない、退職願でもない、退職届でもない「進退伺」とは
進退伺は、会社や団体の管理職などの立場の人が組織上の責任を取るために辞める覚悟で進退を会社にゆだねる時に提出します。
例えば、会社の名誉や信頼を傷つけり、大きな損害を出した場合、部下の不祥事など特に業務の中で起こした事件について責任者がその責任と取る場合。
辞めるか辞めないかは会社の幹部が判断することになります。
「進退伺」を書くときのポイント
1. 責任を取ることになった事件を示す。
2. 事件の責任は自分にあるとして、辞める覚悟があることを書く。
3. 事件に対する処分を会社にゆだねて、指示を仰ぐ。
【進退伺のサンプル文章】
---------------------------------------------------------------
株式会社○○
代表取締役社長 〇〇 〇〇様
△△支店長△△ △△
進退伺
去る〇月〇日に発覚いたしました△△支店□□ □□による横領事件により、株式会社〇〇の社会的信用を傷つけ会社に多大なご迷惑をおかけしました。また関係各位にご心配をおかけすることになり大変申し訳なく思っております。すべて小職の監督不行届によるもので、誠に申し訳なくここに深くお詫び申し上げます。
つきましては、今回の事件はすべて小職の責任によるものと痛感し、今後小職に対するいかなるご処分も謹んで承る所存ですので、向後の進退につきご指示賜りますようお願い申し上げます。
-----------------------------------------------------------
このような書面を出すことがないようにしたいものですね。
それでは、今回は以上です。
お役に立てれば幸いです。
<PR>退職に関することなら、経験豊富な専門家に相談する方が解決の近道
コメント 0