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退職や解雇に関して働く人や会社がどのようなことを労働局・労基署等に相談しているのか

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職場でのトラブルや悩み事に関して、厚生労働省では相談窓口※を用意しています。そこに寄せられる相談内容で上位を占めるのが、順に「いじめ・嫌がらせ」「自己都合退職」「解雇」となっています。

退職に関することが全体の約23%。およそ4件に1件の割合です。平成30年度の相談件数で言うと、自己都合退職は約4万1千件強、解雇は約3万3千件弱。こんなに多くの人が悩みを抱えているのが現状。実際には、表面に出ていないだけで悩んでいる方はもっとたくさんいることが予想できますね。ただ、これらの窓口は働いている人だけでなく使用者である会社も利用できるので、その数字も入っている形になっています。

では、働く人や会社はいったいどんなことを相談しているか?
参考までにご覧いただければと思います。

※「総合労働相談」:都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など380か所(平成31年4月1日現在)に、あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーを設置し、専門の相談員が対応。なお、平成28年度から、都道府県労働局の組織見直しにより「雇用環境・均等(部)室」が設置され、これまで「雇用均等室」で対応していた男女雇用機会均等法等に関しても一体的に労働相談として対応することになったため、それらの相談件数も計上されています。


退職と解雇に関する相談の事例です。ここでご紹介するのは、厚生労働省 長野労働局のホームページに掲載されているものになります。

退職(退職金を含む)に関する相談事例


Q1.会社に「やめたい。」と言ったら、逆に「急にやめてもらっては困る。就業規則で、退職の申出は1か月前に言うことになっている。」と返答されました。すぐにやめることはできないのでしょうか。(労働者)


A1.民法の規定によれば、原則として14日以上前に退職の意思表示をする必要があります。
就業規則の規定(質問では1ヶ月前)の効力については、労使の特約として認められる場合もあります。
例外的に、入社時に明示された労働条件が事実と相違する場合において、労働者は、即時に労働契約を解除することができることとされています。


Q2.会社から「やめてもらいたい。」と言ってきたのに、「君の履歴にキズが付くし、次の就職先に支障があってもいけないので退職届を出した方がいい。」と言われました。言われたとおり退職届を出した方がいいのでしょうか。(労働者)


A2.一般的に退職届を提出することは、自ら退職する意思表示をしたものとみなされます。退職届が、客観的に労働者の裁量の余地がなく、かなりの圧力で強要されたと認められた場合は、解雇として扱われる可能性がありますが、会社の言うとおり提出するか否かは熟考したほうがよいと思われます。


Q3.退職金はいずれ振り込むと言われたのに、いまだに支払いがありません。どうすればいいのでしょうか。(労働者)


A3.就業規則等における退職金規程の内容で、支払日等を確認する必要があります。


Q4.会社が退職金規程どおり支払わず、支払いが遅れている状態です。どうすればいいのでしょうか。(労働者)


A4.退職金の支給額及び支払時期等がわかるものを持参の上、最寄の労働基準監督署へご相談ください。


Q5.自分が入社した時の退職金の規程では150万円になるのに、会社は「今の規程ではこうなっている。」と言って100万円しか払ってくれません。また、「今の規程は監督署へ届出して認められている。」とも言われます。許されるのでしょうか。(労働者)


A5.今の規程(入社した時の就業規則より不利益に変更された現在の就業規則)が民事的に有効なものとして認められるか否かが問題となってきます。労働契約法第10条により、労働者にとって不利益変更であっても合理的な理由による変更であれば有効と認められる余地もあり、最終的な判断は裁判所に委ねるしかありません。
なお、就業規則の届出は、労働基準法第89条に基づくものですから、それによって刑事的な責任は免れますが、民事的な内容の有効性とは別の問題です。よって労働基準監督署へ届け出ることによって、内容が必ず有効となるものではありません。


Q6.会社には「一身上の都合」により退職しましたが、同業他社への就職がバレて、退職金を支払ってくれません。なんとかならないのでしょうか。(労働者)


A6.退職金規程の支給条件を確認する必要があります。規程中に「退職後に競業避止義務違反が発覚した場合には、退職金を支払わない」旨定められていれば、退職金が支払われない又は減額される可能性があります。


Q7.積立金として毎月3,000円が引かれているのに、退職の際、全く返してくれません。会社は「親睦として社員の香典などを出すお金だからいちいち返さない。」と言っていました。積立金になっている以上、退職したときに返してもらえると思うのですが。(労働者)


A7.労働基準法第23条の貯蓄金と認められれば、請求してから7日以内に会社側は労働者に返還しなければなりません。会社が主張している親睦会としての賃金からの控除ということであれば労働基準法第23条に基づく貯蓄金とならない可能性もあります。


Q8.労働者を解雇する場合、1か月前に予告するよう決められていますが、労働者がすぐやめていっても会社は何も言えないのでしょうか。(労働者)


A8.民法に、労働者の自己都合退職する場合の規定があります。労働者から、規定に反する意思表示があり、実際に退職した場合、その労働者に対して民事上の責任追及をすることは不可能とはいえませんが、かなり難しいと思われます。



解雇に関する相談事例


Q1.急に呼ばれて「今日をもって辞めてもらいたい。」と言われました。このような解雇は許されるのですか。(労働者)


A1. 解雇は正当な理由がない限りできません。
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。30日前に予告をしない使用者は、平均賃金の30日分以上を支払わなければなりません。
ただし、これは解雇が有効であることが前提です。使用者は、労働者に解雇予告手当を支払っても、法定の解雇禁止事項以外に、無期契約労働者の場合については、労働契約法上、(1)客観的に合理的な理由、(2)社会通念上相当性がなければ解雇はできません。
また、有期契約労働者の場合には、「やむを得ない事由がある場合」でなければ、契約期間中に解雇することはできません。
解雇された理由について、会社側と争う意思があれば最終的には裁判所に判断を委ねる必要があります。


Q2.使用者が、労働者に退職を求めることは自由ですか。 (使用者)


A2.使用者は、労働者を解雇しないで退職させようとすることがあります(退職勧奨)。これは、使用者が労働者の退職の意思表示を促すだけですので、強制してはいけません。使用者が、退職を勧めている労働者に対して1回の面談で数時間にわたり退職を説得したり、複数の者が同席して労働者に退職を求めると、退職の強制と解せられることがありますので、注意してください。


Q3.仕事上のミスが多い労働者を解雇できますか。(使用者)


A3.仕事をする上での能力に問題がある場合は、普通解雇の対象になり得ます。しかし、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である。」と認められない場合は無効ですので、ケースによって個別に考える必要があります。業務にどれほどの支障があるか、他の業務に転換できないか、教育によって改善の見込みがないかなどを踏まえた上で慎重に判断しなければなりません。


Q4.「仕事がないから、会社に来なくていい。」と言われました。解雇ではないでしょうか。(労働者)


A4.「…会社に来なくていい。」という言い方だけでは明確に解雇というのは難しいと思われます。「使用者側の責に帰するべき事由」による休業という可能性もあり、会社側に解雇であるか否か真意を確認すべきです。


Q5.賃金支払日(例えば1月25日)に「今月末でやめてくれ。」と言われました。予告手当等はどうなるのでしょうか。(労働者)


A5.原則として解雇予告は30日前に予告するか、又は即時解雇の場合は平均賃金の30日分以上を解雇予告手当として支払わなければなりません。質問の場合は、予告期間が6日(1/26~1/31)しかありませんので、平均賃金の24日分以上を解雇予告手当として支払わなければなりません。


Q6.試用期間中または試用期間満了時に「うちの仕事に合わないから」という理由で即日解雇されるのはやむを得ないのでしょうか。(労働者)


A6.試用期間といえども労働契約は成立しているので、試用期間中及び試用期間満了時の雇止めは解雇です。ただし、労働基準法では、試みの試用期間中の者を14日以内に解雇する場合は解雇予告をしなくてもよいとしています。


Q7.パートタイマーを1年更新で雇用していますが、次期契約はしない予定です。その場合でも雇止め予告は必要でしょうか。(使用者)


A7.一定条件を満たす場合には、30日以上前の雇止め予告が必要です。
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」では、当該契約を3回以上更新し、又は、最初の契約開始日から継続して通算1年を超える場合には、30日以上前の予告を必要としています。 
なお、上記に当てはまらない場合でも、可能な限り、前もって予告することが望ましいと言えます。


Q8.仕事上のトラブルで、直属の上司から「辞めろ」と言われました。しかし、その上司は「クビとは言っていない。」と言いました。どうすればいいのでしょうか。(労働者)


A8.現段階では、解雇予告が正式にあったと認めることは難しいと思われます。あなたに「クビとは言っていない。」と言った者に、解雇でなければ働きに行っていいのか、再度確認すべきだと思われます。

Q9.派遣先の担当者から、「明日から来なくていい。」と言われました。許されるのですか。(労働者)


A9.派遣先の担当者から言われたことが、正式な解雇と認めることはできません。労働者は、会社間の派遣契約に基づき派遣されているものであって、あくまで、解雇権がある使用者は、雇用契約を締結してる派遣元になります。


Q10.解雇するのに口頭でなく、書面で通知しなければならないのですか。(使用者)


A10.解雇予告は、直接労働者に解雇の意思表示が明確に伝わる方法であれば、口頭でも構いません。しかしながら、口頭で予告した場合は、解雇に関して争いが起きた場合に、証明困難となるケースが多いので、書面で通知するのが確実な方法と思われます。
なお、労働基準法では、労働者からの請求により、解雇又は退職の事実、理由等を記した証明書(請求された事項に限る)を労働者に交付することを義務付けています。


Q11.懲戒解雇の場合でも解雇予告手当として、1か月分の平均賃金を支払わなければならないのですか。(使用者)


A11.会社が定めた懲戒解雇事由に該当する解雇であっても、労働基準法第20条に定める解雇の手続きは必要です。


Q12.懲戒解雇するのに、監督署に届出か許可が必要と聞いたことがありますが、どんな手続きをすればいいのですか。(使用者)


A12.懲戒解雇するに当たって監督署への届出等は必要ありません。ただし、懲戒解雇と関連するものとして解雇予告除外認定申請があります。この申請で、解雇予告制度により労働者を保護するに値しないほどの重大又は悪質な業務違反、又は背信行為が労働者に存在する、と労働基準監督署長が認定した場合、解雇の予告等は不要です。
なお、上記基準と社内の懲戒解雇基準とが必ずしも一致するとは限りませんので、懲戒解雇する前に監督署への事前相談をお勧めします。


Q13.地震によって工場が倒壊してしまい、当分の間再開することができません。そのため、今週中には全労働者を一旦解雇したいと考えていますが、その場合でも、解雇予告手当を支払わなければなりませんか。(使用者)


A13.天災地変等やむを得ない事情によって事業の継続が不可能な場合、30日以上の解雇予告期間を置かずに、あるいは解雇予告手当を支払わずに解雇するには所轄労働基準監督署長の認定が必要です。


Q14.懲戒解雇した場合でも退職金は支払わなければならないのですか。(使用者)


A14.退職金を支払うか否かは就業規則等における退職金規程によりますが、懲戒解雇の退職金を通常解雇等の退職金と差をつけることは、裁判上で懲戒解雇の具体的内容に照らして個別に判断されています。「『退職金を支給しない』との規定を適用できるのは労働者の永年の勤続の功を減殺ないし抹消するほどの背信行為があった場合に限定される」という判例もあります。


Q15.パートやアルバイトでも解雇の予告は必要あるのでしょうか。(使用者)


A15.パートやアルバイトであっても、労働者に変わりありませんので、解雇の合理性は厳しく判断されます。また解雇が有効であったとしても労働基準法第20条等の手続きが必要です。
ただし、季節雇用などの場合には、解雇予告が不要な場合もあります。


________________________________________

以上です。

このQ&Aは、あくまで例にすぎません。
対応する職員で答え方に違いはありますし、法律だって改正になります。
もちろん相談の内容がまったく同じということはないでしょうから、ご参考程度になさってください。


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